2010年1月11日(成人の日、祝日)。名古屋、電気文化会館で石川馨栄子さんのピアノリサイタルが行われます。名古屋が主な活動エリアのようで、電気文化会館での演奏会が中核にあるようですね。
プログラムは、今年が生誕200年のアニヴァーサリーになる2人の作曲家、ショパンとシューマンのピアノソロ。
・ノクターン 作品62
・幻想曲 作品49
・アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22 シューマン:
・交響的練習曲 作品13 ショパンの3曲のうち、「アンダンテ・スピナートと華麗なる大ポロネーズ」だけがショパンの生前に出版された曲で、先に後半のポロネーズの部分が作曲されました。ファンファーレで華やかに開始される21歳の時の作品。
希望を旨に二十歳でワルシャワから旅立ってウィーンに着いたショパンでしたが、当時ロシアの影響が強かったウィーンではポーランドがロシアに対して放棄した事に対して、反ポーランドのムードが高まっていただけに歓迎されませんでした。その為にウィーンを離れて、パリへと移ることにします。
革命のエチュードを同じ頃に作曲しているようで、青年ショパンの未来への希望が伝わってくるようです。2年ほどして序奏のアンダンテ・スピアナートが付け加えられて落ち着いた風格で始まる曲になりましたけれども、晩年のピアノの特長を説き、磨き上げた鏡のような曲とは違って、ピアニストとしての成功をひたすらに念頭に持っているような若々しい音楽。成人の日にはふさわしい曲ではないかしら。
その前に置かれた3曲はいずれもショパン円熟期のノクターンと幻想曲。二十歳の成人に対して、先輩としての石川馨栄子さん自身の“自己挑戦”の曲ではないでしょうか。NHK-FMの「名曲リサイタル」で聴いているぐらいで、実際の演奏は知りませんけれども石川馨栄子のレパートリーは古典から現代曲まで幅広く、良く鳴る華やかなピアノです。ノクターン作品62の第2は、「洗練された和声、甘美な旋律と夢に満ちている」とカラソフスキが言っているほどで、舟唄のような3曲がワルツのようにならなければいいですね。
後半のシューマンは、ショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」が作曲された時期と同じ頃に作曲された「交響的練習曲」です。ピアニストへの夢を作曲に乗り換えて、意欲が出始めていたのでしょう。ピアノ曲をたくさん作曲していましたけれども、この「交響的練習曲」を作曲する前に、最初の交響曲にトライ。結局は「交響曲」は完成しきれませんでしたけれども、その分このピアノ曲は交響曲のように華やかです。ピアノが上手になる為の練習曲というのではなくて、交響曲を作る為の練習曲という思いがタイトルに表れているようなオーケストラを思わせる豊かな響きとスケールの大きさが魅力です。
完成しているのかしていないのか分からない作品で3つの版が出版されていて、演奏家はそれぞれからオリジナルの組み合わせで演奏しています。演奏家も組み合わせを試行錯誤していくタイプの楽曲ですから、無限の可能性があると言える演奏家による解釈の違い。と共に、演奏家もパッチワークを組み合わせて交響曲を作り上げていくような楽しみながら演奏できるのが「交響的練習曲」ではないでしょうか。
同じに学校を卒業して同じ仕事についてとしても、その先の歩みは様々です。求められたものをこなしていくだけではダメで、個人個人の選択の自由に委ねられるのが楽しみを見つけることが出来る良いところです。
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