いやらしかぁ...と、熊本弁で言いたい。NHKの大河ドラマ《江 姫たちの戦国》は西暦1,600年を目前とした時代ですが、この頃に西洋クラシック音楽が歩みをはじめたと言えます。ルネサンスの実験的な試みから楽譜に基づいて演奏家同士に共通の言語が確立してバロック音楽の時代になります。たった2冊の自作の楽譜を携えて田舎から音楽の都に出てきたモンテヴェルディの改革は、家康にバトンを渡して日本全体を武家社会という構造にするために存在した様な秀吉のようでもあります。
クラシック音楽を愛聴する上で原初にある2冊のうちの1つが、《聖母マリアの夕べの祈り》。この宇宙的な傑作に対して、ことさら構える事無く、演奏者の質とセンスで迫った勝負ありの新しい名盤がまた1枚増えました。特にテノールは良い歌手ばかりを揃えたのが大成功の勘所。クリスティーナ・プルハールは、これまでの多くの名盤が継承してきた演奏スタイルにお得意のジャズ的な低音ラインもちらりと見せて、まだまだルネサンスの愛してる、女性の身体の官能に浸りたいなどと即興の思いを歌として発散していた火照りが残っている様なアプローチで、いやらしく良い感触です。強い日焼けから脱皮させた、アレッサンドリーニ盤以来の名盤登場となりました。番組では聴き所をつまみ食い。ぜひ2枚組の全曲を聴かれん事を熱望します。 http://amzn.to/nb9qa1
『MONTEVERDI VESPRO DELLA BEATA VIRGINE』Virgin Classics/5099964199429
古楽の楽しみ -モンテヴェルディの音楽-(1)
案内:礒山雅 2011年7月18日、午前6時からNHK-FMで放送。
- モンテヴェルディの音楽 -(1)
「“聖母マリアの夕べの祈り”から」 モンテヴェルディ作曲
- 主よ、われを助けに (2分06秒)
- 主は言われた (6分30秒)
(テノール)エミリアーノ・ゴンサレス・トロ
「“聖母マリアの夕べの祈り”から」 モンテヴェルディ作曲
- わが肌は黒けれど (3分20秒)
- しもべらよ、主をたたえよ (5分41秒)
- わが愛する者よ、汝は美し (3分17秒)
(ソプラノ)ヌリア・リアル
ラケル・アンドゥエサ
(テノール)エミリアーノ・ゴンサレス・トロ
「“聖母マリアの夕べの祈り”から」 モンテヴェルディ作曲
- われは喜びに満ちたり (6分04秒)
- 二人のセラフィムが (5分08秒)
- 主が家を建てたまわずば (3分51秒)
(テノール)エミリアーノ・ゴンサレス・トロ
マルクス・ブルッチャー
ヤン・ファン・エルサッカー
「“聖母マリアの夕べの祈り”から 天よ、聞き入れたまえ」 モンテヴェルディ作曲 (6分39秒)
(テノール)ヤン・ファン・エルサッカー
(合唱、演奏)ラルペッジャータ
(テオルボ、指揮)クリスティーナ・プルハール
<Virgin classics 5099964199429>
試聴とダウンロード http://www.jpc.de/jpcng/classic/detail/-/art/Claudio-Monteverdi-1567-1643-Ves...
via nhk.or.jp
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